Looking Glassのキャリブレーション

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Looking Glassは、レンチキュラーレンズという特殊なレンズを液晶の上に貼り付け、左右の目に視差のある画像を見せることで、立体に見せています。
通常、レンチキュラーレンズは画像の構成ドットとぴったり合わせないとうまく立体に見えないのですが、精度良く貼り付けるのは、非常に大変でコストもかかります。そこで、Looking Glassでは、ソフトで補正することで、貼り付け精度が悪くても使えるようにしたようです。補正に必要な情報としては、「レンズの傾き(わざと10°くらい傾けて貼っています)」「レンズのピッチ(50LPIに対し多少ばらつきがあるようです)」「レンズと画像の中心ずれ」をあらかじめ測定し、本体のメモリーに格納していると思われます。
Looking Glass社の標準アプリや、SDKを使ったアプリでは、自動でこれらの値を読み込んで表示するので、ユーザーは気にする必要はありません。

SPMは、あえて、Looking Glass社のSDKを使わず、自前で、表示画像の作成やLooking Glass表示を行えるようにしました。
メリットとしては、SPMだけで、画像の作成や表示まで一貫してできることと、高速なビデオボードの無い、普通のPCでも、2560x1600ピクセルの外部モニターが表示できる環境であれば、Looking Glassを楽しむ事ができます。

デメリットとしては、上述のように、本体に保存してある、補正値が読みだせない(情報非公開)ため、これらの設定値を求めるキャリブレーションが必要となります。

なお、本ページの記述は、個人的に調べた内容に基づき正確性を保証するものではありません。

Looking Glassの仕様(違っていたらご指摘下さい)
画面サイズ 8.5インチ(初期ロットでは8.9インチというのがあるみたいですが、ここでは、8.5インチ前提で記述します)
画面解像度 2560x1600ピクセル
画素ピッチ 355DPI
レンチキュラーピッチ 50LPI(49.96LPI?)
レンズ貼り付け角度 約10°(結構ばらついていると思われます。時計の1時の向き、初期ロットは11時の方向という情報有)
レンズを垂直に貼った場合のレンズ1本当たりのRGBサブピクセル数 21.31ピクセル
10°傾けた時のRGBサブピクセル数 21.64ピクセル

ここで解説している方法を使わなくても、公式ページのツールを使えば、Looking Glassのキャリブレーション値を読み出せる事が分かりました。
Looking Glassのキャリブレーション値から、SPMのキャリブレーション値に変換して設定する方法は、こちらのページを参照下さい。
なお、この方法は、公式ページの対応によっては、使えなくかる可能性はありますので、ご注意下さい。

1.SPMを起動し、Alt+Cキーを押し、Looking Glassのキャリブレーション画面を開く
2. 以下の設定を行う
a) 作成画像サイズ 幅:2560  高さ:1600
b) Looking Glass表示位置
 ディスプレイ設定で、マルチディスプレイのどこにLooking Glassを配置するか指定する。
 Looking Glassの推奨は、左(下図参照)です。
 ディスプレイ1と2は、上揃えにして下さい。
 正しく設定すると、Looking Glassに斜め線が表示されます。
3. レンズの傾き調整
調整中心は、直接キーボードでも入力できますが、傾きが10°前後なので、傾きの縦/横比を-5.5(1時の方向がマイナス)をセンターにスライダーで斜め線が切れないように調整してください。
スライダーの右側に表示される値が調整値です。

OK例(斜め線が切れずに上からしたまでつながっている)


NG例(斜め線が途中で切れている)
4. レンズ密度の調整(ラフ調整)
「レンズ傾きから自動調整」ボタンを押すと、自動で、レンズ密度を計算し、調整中心にセットしますので、ほぼ合っているかもしれませんが、微調整を行います。

調整パターン「RGB(幅広)」を押します。 全面同じ色になるようにスライダーで調整します。片目で、調整した方が良いと思います。
Looking Glassからの距離によって、視野角が変わるため、調整値が変わります。通常、観賞する位置で調整してください。

OK例(全面 同一色になる)


NG例(RGBの帯が見えてしまう)
5. レンズ密度の調整(精密調整)

調整パターン「RGB(幅狭)」を押します。 それぞれの色の幅が最大なるようにスライダーで調整します。片目で調整した方が良いと思います。
Looking Glassからの距離によって、視野角が変わるため、調整値が変わります。通常、観賞する位置で調整してください。
あまり厳密に合わせなくても大丈夫みたいです。

OK例(同じ色の幅が最大になる) これも、両目でみると複数の色が見えてしまいます。片目で調整下さい。


NG例(RGBの帯が見えてしまう)
6. レンズの中心合わせ
レンズと画像の中心が合わないと、Looking Glassを見ながら顔を左右にふると、画像が逆視になってしまいます。

調整パターン「縦線(中心合わせ)」を押し、線が重なるように、スライダーを調整します。片目で、画面の正面中心で合わせて下さい。
OK例(線が重なる)


NG例(線が離れて見える)
7. 確認
SPMと同じフォルダに、lg_calib00.jpg〜lg_calib09.jpgという32視点のQuilt画像(タイル画像)を置いておき、lg_calib.jpgボタンを押すと、押す毎に画像が切替表示されますので、きちんと立体表示
されていることを確認してください。 顔を左右に動かして、なるべく広い範囲で、正常に見えることを確認します。問題ある場合は再調整してください。
8. 設定保存
正しく設定されたら保存ボタンを押し、適当なファイル名を付けて保存することをお勧めします。呼び出しボタンで、設定を呼び出せます。
別のPCを使いたい場合は、設定ファイルをコピーして読み込めば、キャリブレーションの必要はありません。
9. キャリブレーション終了
OKボタンを押すと、設定値がレジストリに保存されますので、SPMを終了させても、値が保持されますので、設定を変更しない限り、その値を使ってLooking glass 表示します。
基本的には、最初の1回だけキャリブレーションすればOKです。